第30回重要刀剣指定書(昭和58年11月23日)付
¥12,000,000(税込)
新刀名作集(内田疎天・加島勲共著)103頁所載品。
金・銀・花緑青色塗波涛高蒔絵鞘打刀拵付。
金着二重鎺、白鞘付
福岡県教育委員会登録証(平成23年12月27日)付
◎時代・国
江戸初期(347年前)、摂津。
◎法量
刃長69.6㎝(2尺2寸9分7厘) 反り2.0㎝(6分6厘) 元幅3.0㎝(9分9厘)
先幅1.9㎝(6分3厘) 元重0.76㎝(2分5厘) 先重0.49㎝(1分6厘)
鋒長3.15㎝(1寸4厘) 茎長23.0㎝(7寸5分9厘)
◎形状
鎬造、庵棟、やや細身で反りが深い太刀体配で姿が良く、中鋒となる。
◎鍛
小板目肌最もよくつみ、地沸細かによくつき、冴える。
◎刃文
直刃、極く浅くのたれごころをおび、匂い深く、小沸よくつき、細かい金筋・砂流しかかり、匂口明るく冴える。
◎帽子
横手下より焼幅を広め、直ぐに小丸に返る。
◎茎
生ぶ、先入山形、鑢目香包化粧付筋違い、目釘1。
◎拵
金・銀・花緑青色塗波涛高蒔絵鞘打刀拵。
鐔、赤銅石目地 髙彫 金銅色絵 馬上人物図。
縁頭、赤銅魚子無地。
目貫、金色絵容彫二匹獅子の図。
小柄、赤銅魚子地 金高彫 裏金哺 二匹獅子の図。
白鮫、黒色糸つまみ巻、金無垢切羽、紺色糸下緒付。
鮮やかな花緑青色の鞘に金・銀で波涛の高蒔絵を施した入念で粋な拵である。
◎説明
津田越前守助広は、寛永14年摂州打出村(現芦屋市)に生まれ、初代そぼろ助広の門に学んで養子となり、大坂常盤町に住した。明暦元年師の没後二代目を継ぎ、明暦3年に越前守を受領して、寛文7年には大坂域代青山因幡守宗俊に召し抱えられ、天和2年3月14日46歳で没している。
彼は涛瀾乱れと称される独特の刃文を創始し、世に絶賛を博したが、それとは別に直刃も非常に巧みであり、同地大坂の井上真改の直刃と双璧で、新刀中の横綱として長曽祢興里虎徹と並び称賛されている。
本刀は姿が非常によく、地刃がよく冴え、匂口の沸・匂がよく調和している。また横手下より焼幅がやや広くなって直ぐに小丸に返る帽子は、同工の直刃の作によく見受けられ、特色を示している。助広の直刃出来の傑作である。(重要図譜より抜粋)
尚、本刀の「丸津田」銘は延宝2年2月以降から彼が没する天和2年までの約8年間のみの稀少な作であり、40歳頃の力が横溢している時期の入念作で、粋な花緑青色の美しい拵が附されていることも、その価値を高めている。