脇指  銘  近江大掾藤原忠廣    (新刀・上々作)(大業物)

特別保存刀剣鑑定書(平成2922)

                  ¥980.000(税込)

金着二重鎺、白鞘付

広島県教育委員会登録証(昭和48517)

時代・国   江戸初期(360年前)、肥前。

 

法量     刃長53.5(177) 反り1.7(56)

       元幅3.07(1寸強) 先幅2.2(73)

       元重0.7(23) 先重0.53(17)

       鋒長3.5(116) 茎長15.6(515)

 

形状     鎬造、庵棟、身幅・重ね共にしっかりとした健全なる体配で、反りがあ

       って姿が良く、中鋒となる。

 

鍛      小板目に小杢目が交じって頗るよく約み、小糠肌風となり、地沸厚くつ

       き、地景よく入り、明るい。

 

刃文     沸出来、浅い湾れ調の中に小さな互の目が交じり、細かい足や葉がふん

       だんに入ってよく働き、金筋・砂流しかかり、尖り刃や湯走り状も交じ

       って明るく冴える。

 

彫物     佩表に真の爪付剣巻龍、佩き裏に旗鉾があって、共に濃厚・入念な作で、

       当時肥前刀の彫刻を専門に施していた吉長の作と思われる。

 

茎      生ぶ、先入山形、鑢目切、目釘孔1

 

説明     肥前二代忠廣は新左衛門尉と称し、慶長19年、武蔵大掾忠廣(初代忠吉)

       嫡男として生まれ、寛永9年、父没後19歳の若さで忠廣を襲名した。寛永

       18年には近江大掾を受領し、元禄6年に80歳の高齢を以って没する迄60

       年の長きに渉って多くの作品を遺し、また多くの門弟を養成した。

          本作は身幅・重ね共に健全な体配で、反りがあって姿が良く、頗るよく約

       んだ地鉄に浅い湾れ調の刃を焼き、その中に小さな互の目に細かい足や葉

       がよく働いて、金筋・砂流しもかかって出来が良い。

       特に腰元に施された濃厚な彫口の爪付剣巻龍の迫力は出色である。

       肥前刀は刀に限っては太刀名に切るという関係から、他国のものとは反対

       に指裏に濃厚な彫をすることが大きな見どころである。本作もこの掟通り

       の配置で、爪付剣に龍が巻き付き、顎が大きく割れて首が後ろの方へ長く

       延び、胸を大きく張り、剣をつかんだ爪は非常に長く、尻尾に尾ひれがつ

       かず、尖っている。また旗鉾も新刀中では肥前刀に最も多い。

       以上の事から、当時、肥前刀の彫刻を専門に担っていた吉長の作と思われ

       る名彫刻であり、刀身の出来の良さと相俟って、稀に見る近江大掾忠廣の

       濃厚な剣巻龍が施された優刀である。

 


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