第26回重要刀剣指定書(昭和54年3月2日)付
¥2,900,000(税込)
(附)黒石目地塗腰鮫皮刻鞘脇指拵(六代安親一作金具)
(附)享保五年本阿弥光忠拾五枚折紙
金着一重鎺、白鞘付
山形県教育委員会登録証(昭和39年2月29日)付
◎時代・国
南北朝期(正平頃約670年前)、山城・摂津。
◎法量
刃長32.4㎝(1尺7分) 反り0.4㎝(1分3厘)
元幅2.7㎝(8分9厘) 元重0.51㎝(1分7厘)
◎形状
平造、庵棟、身幅広く、寸延びて反り浅くつく。
◎鍛
小板目に小杢目交じり、地沸よくつき、細かに地景入り、地斑交じり、沸映り立つ。
◎刃文
中直刃調に互の目ごころ交じり、匂深く、沸細かによくつき、腰元に喰違い刃交じり、砂流しかかる。
◎帽子
直ぐで入り、小丸に返る。
◎彫物
表裏棟寄りに棒樋を掻き流す。
◎茎
生ぶ、先栗尻、鑢目切、目釘孔3。
◎拵
黒石目地塗腰鮫皮刻鞘脇指拵。鐔銘=東仙院法眼安親(花押)・縁頭銘=石燕子法眼安親(花押)・小柄銘=法眼安親(花押)・笄銘=法眼安親(花押)・鯉口・栗形・鐺の総金具は銅石目地仕立に根曳の松を鋤出高彫に金銀銅象嵌色絵を施す。目貫は銅容彫金銀色絵、根曳の松の図。小刀は銀製金色絵片切彫で蝶に草花の図。鞘にもおめでたい根曳の松を金高蒔絵とし、六代安親こと土屋昌親の傑作である。白鮫、黒糸蛇腹巻、金着切羽。
◎説明
享保五年本阿弥宗家十三代光忠により中島来と極められ、代金子拾五枚(一枚は金十両に換算)の折紙が附された寸延び短刀である。中島来の呼称は、来国俊の門人で京にいた来国長が摂津中島に移住したことに拠るもので、本刀はその来国長の典型作であり、当時の貴重な折紙が附されている事も名刀を物語っている。また、おめでたい根曳の松の六代安親一作金具拵もそれに相応しい優品である。
◎備考
「根曳の松」とは、正月の子の日に根の付いた松を曳く行事に因んでおり初春の情景を叙したおめでたい図柄である。