短刀  銘  藤直胤(花押)ヲシテル(刻印) (新々刀・最上作)

弘化三年八月日

保存刀剣鑑定書(令和二年二月)

特別貴重刀剣認定書(昭和33525)

                 ¥1,950,000(税込)

金着一重鎺、白鞘付

三重県教育委員会登録証(昭和2826)

時代・国  江戸末期(174年前)、武蔵。

 

法量    刃長28.9(954) 反り0.6(2)

      元幅3.18(15) 元重0.49(16)

      茎長10.3(34)

 

形状    平造、三ッ棟、身幅頗る広く、重ね頗る薄く、だんびらのいわゆる南北朝期の

      体配で、反りがあって力強く、姿が良い。

 

鍛     板目に杢目が交じり、刃寄り・棟寄りは柾となり、地沸よくつき、地景頻りに

      入る。

 

刃文    沸出来、匂い深く、大互の目乱れ華やかに、足・葉よく入り、金筋・砂流し頻

      りにかかり、よく働いて明るく冴える。

 

帽子    大きく乱れて一枚風となり、やや深く返る。

 

茎     生ぶ、鑢目化粧付大筋違い、先栗尻、目釘孔1

 

説明    直胤は、安永七年に出羽国山形に生まれ、本名を庄司(荘司)箕兵衛(美濃兵衛)

      称し、大慶と号した。文政4年頃に筑前大掾を受領し、嘉永元年に上洛して美濃

      介に転じている。

      若年の折に江戸に出て、水心子正秀の門に入り、後に師同様に秋元侯に仕え、

      細川正義と共に水心子門下の逸材となった。

      安政452779歳で没している。

      彼は晩年に3度の長旅に出て各地で鍛刀しており、都・サガミ・エンシウ・イ

      セ・シナノ・イヅ・コロモ・宮等々それぞれの地名の刻印があり、本作の刻印

      は「ヲシテル」で、これは大坂を意味する枕詞である。

 

      本作は身幅が頗る広く、重ねが頗る薄く、刃寄り・棟寄りの鍛えは柾目となっ

      ていて、刃文は沸出来の大互の目乱れが華やかで、足・葉よく入り、金筋・砂

      流しが頻りにかかってよく働き、明るく冴えて相州伝の様相を呈している。ま

      さに南北朝期の名工・長谷部国重あたりを狙った優刀で、師の水心子正秀の復

      古論を忠実に実践した同工の快心作の一口である。

 


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