保存刀剣鑑定書(令和元年8月26日)
¥350,000(税込)
茶石目地鞘銀磨地一作金具合口短刀拵付
金着一重鎺付 白鞘なし。
東京都教育委員会登録証(昭和41年11月24日)付
◎時代・国
室町末期(約500年前)、土佐。
◎法量
刃長18.5㎝(6寸1分) 無反り 元幅1.75㎝(5分8厘)
元重1.0㎝(3分3厘) 茎長9.7㎝(3寸2分)
◎形状
平造、庵棟、身幅細めながら重ねが頗る厚い、いわゆる鎧通しの体配で、ふくら枯れて鋭い。
◎鍛
板目流れて柾がかり、地沸厚くつき、地景入る。
◎刃文
沸出来、匂い深く、大湾れ調の中に直ぐ刃・互の目交じり、飛び焼入り、金筋・砂流しかかり、足・葉頻りに入り、よく働いて明るい。
◎帽子
直ぐで入り、小丸にやや深く返り、掃き掛ける。
◎茎
生ぶ、鑢目切、先刃上がり栗尻、目釘孔2。
◎拵
茶石目地鞘銀磨地一作金具合口短刀拵。
小柄:銀磨地赤銅芋継ぎ、猪の目透。
裏、時雨鑢、波模様図。
小刀:無銘。
◎説明
土佐吉光は銘鑑によれば、鎌倉時代末期頃から始まり、室町時代に及んでいるが、遺例からみて、室町前期(康正)頃の五代にあたる安左衛門から始まるのではないかという説もある。
本作は七代の孫左衛門あたりの作品で、重ね厚めの無反短刀に直刃のものを多く遺しており、中には粟田口吉光を想起させるものがある。しかし、本作は珍しく大湾れ調の中に直ぐ刃と互の目を交え、刃中に足・葉よく働き、金筋・砂流しかかり、刃が明るく相州伝風の迫力ある作風となっていて出来が良い。品の良い銀磨地一作金具の合口短刀拵が付されている事も好ましい。