第22回重要刀剣指定書(昭和49年6月1日)付
¥5,400,000(税込)
佐藤寒山博士御鞘書付
黒呂色塗鞘打刀天正拵付
金無垢二重鎺(56g)、角口白鞘付
東京都教育委員会登録証(昭和37年1月25日)付
◎時代・国
南北朝期(645年前)、備前。
◎法量
刃長65.2㎝(2尺1寸5分2厘) 反り2.5㎝(8分3厘)
元幅3.05㎝(1寸) 先幅1.9㎝(6分3厘)
元重0.95㎝(3分1厘) 先重0.56㎝(1分9厘)
鋒長2.8㎝(9分2厘) 茎長17.3㎝(5寸7分1厘)
◎形状
鎬造、庵棟、身幅広く、重ね頗る厚く、反り深く、元先の幅差があって踏張りつき、短めながらも健体で姿良く、中鋒詰る。
◎鍛
小板目に小杢目交じってよく約み、肌立って地沸つき、地景入り、華やかに乱れ映り立つ。
◎刃文
互の目・丁子乱れに尖り刃交じり、こずみごころに連れる処あり、足・葉よく入り、沸よくつき、金筋・砂流しかかり、明るく冴える。
◎帽子
乱れ込んで、小丸ごころに返り、金筋入る。
◎彫物
表裏に丸留めの棒樋がある。
◎茎
生ぶ、先栗尻、鑢目勝手下がり、目釘孔2。
◎拵
黒呂色塗鞘打刀天正拵。
鐔、鉄地 竪丸形 鋤下彫 両櫃孔 山水楼閣人物図 銘=長州萩住八道友信作。
目貫、赤銅容彫金色絵 獅子図。
縁、赤銅地 樋形 時雨模様図。頭、角。
黒漆塗鮫、青丹色革つまみ巻。金色絵切羽・しとどめ。
鉄納戸色糸下緒付。品格高い新作の天正拵である。
◎説明
備前吉井派の盛則の太刀で永和の年紀がある。
南北朝後期にみる小振りな太刀の典型であり、やや刃文に変化があるが、吉井派の特色を示しており、年紀がある銘文は貴重である。(重要図譜より転載)
備前吉井派は鎌倉後期の為則を祖として始まると伝えるが、鎌倉時代の作例は極めて少なく、同派の中でも南北朝期を降らぬ年代の作を古吉井、室町期のものを吉井と区分している。この派の作風は、小互の目が規則的に連れる刃文に大きな特色があり、またその焼き刃の形をそのまま地に映したような、独特の映りを現わすものが多い。古吉井の場合はこれらに加えて、地刃がよく沸づき、刃中に金筋・砂流しが働く等の諸点にその見どころがある。
本作もこれらの特色をよく示した上に、華やかな乱れ映りが立って、互の目・丁子乱れの刃に光の強い沸がきらめき、金筋・砂流しがよく働いて、健体で姿良く、出来が優れている。
入念な新作の天正拵と金無垢二重鎺(56g)が附されていて、格調高い趣がある。