特別保存刀剣鑑定書(平成元年8月8日)付
¥売却済
黒呂色塗鞘打刀天正拵付
金着二重鎺、白鞘付
福島県教育委員会登録証(昭和27年6月6日)付
◎時代・国
室町末期(456年前)、備前。
◎法量
刃長64.6㎝(2尺1寸3分2厘) 反り2.3㎝(7分6厘)
元幅3.19㎝(1寸5厘) 先幅2.27㎝(7分5厘)
元重0.8㎝(2分6厘) 先重0.51㎝(1分7厘)
鋒長3.8㎝(1寸2分5厘) 茎長20.0㎝(6寸6分)
◎形状
鎬造、庵棟、身幅広く、重ね厚く、元先の幅差があまりなく、鎬高く、反り深く、先反りついて姿良く、典型的な室町末期の片手打ちの打刀体配で、中鋒となる。
◎鍛
小板目に小杢目肌よく約み、僅かに流れ肌交じってやや肌立ち、地沸微塵につき、地景入り、華やかに乱れ映り立ち、かね冴える。
◎刃文
広直刃仕立てに小互の目交じり、足・葉よく入り、小沸つき、刃縁ほつれ、金筋・砂流し細かにかかり、湯走り・飛焼も交え、匂口明るく冴える。
◎帽子
乱れ込んで、小丸に返り、金筋入る。
◎茎
生ぶ、先栗尻、鑢目勝手下がり、目釘孔1。
◎拵
黒呂色塗鞘打刀天正拵。
鐔、鉄地丸形肉彫地透 雁に竹の図。
目貫、赤銅容彫金色絵 こぼれ松葉の図。
縁、山銅地 戸樋形。頭、角。
小柄、赤銅魚子地 高彫 金色絵 戸口金色絵 粟の図。
笄、赤銅魚子地 高彫 金色絵 蜂の図。
黒漆塗鮫、青丹色革つまみ巻、同色下緒、金着切羽、赤銅しとどめ付。
品格のある新作の天正拵である。
◎説明
室町時代末期の長船刀工群の中で祐定を名乗る刀工は多く、中でも彦兵衛尉・与三左衛門尉及び源兵衛尉が有名である。また清光を名乗る者には五郎左衛門尉・孫右衛門尉などがいる。
本刀は長船清光と五郎左衛門尉祐定の合作刀であり、源兵衛が先祖代々の為に注文したという『主源兵衛 為重代之作』と銘がある。
小板目・小杢目肌がよく約んだ鍛えに、華やかに乱れ映りが立ち、広直刃仕立てに小互の目が交じり、足・葉がよく入り、金筋・砂流しが細かにかかり、地沸が微塵について地景の入った鍛えも優れている。室町末期の典型的な打刀体配で姿も良く、刃文も焼き幅広く、沸づいて地刃共に明るく冴える等、両工の高い技量を余すところ無く発揮した大変稀少な注文打ちの優刀である。
尚、この清光は第37回重要刀剣に指定されている治衛門尉清光の銘振りと酷似しており、数少ない同工の貴重な一振りである。
入念な新作の天正拵が附されている事も、この刀の品格を高めていて好ましい。