第62回重要刀剣指定書(平成28年10月18日)付
¥2,900,000(税込)
田野辺探山先生御鞘書付
金着二重鎺、角口付白鞘付
東京都教育委員会登録証(平成24年12月18日)付
◎時代・国
南北朝期(約650年前)、備前。
◎法量
刃長71.4㎝(2尺3寸5分6厘) 反り1.9㎝(6分3厘)
元幅3.2㎝(1寸6厘) 先幅2.3㎝(7分6厘)
元重0.73㎝(2分4厘) 先重0.46㎝(1分5厘)
鋒長4.3㎝(1寸4分2厘) 茎長19.2㎝(6寸3分4厘)
◎形状
鎬造、庵棟、身幅広く、元先の幅差さまで目立たず、重ね厚く、反りやや深くつき、頗る健全なる体配で、大鋒となる。
◎鍛
板目に杢・流れ肌交じり、肌立ちごころとなり、地沸厚くつき、地景細かに入り、淡く映り立つ。
◎刃文
直刃調極く浅くのたれ、小丁子・小互の目交じり、小足・葉入り、匂勝ち小沸つき、金筋・砂流しかかり、匂口明るく冴える。
◎帽子
乱れ込み、先大丸ごころで頻りに掃きかけて短く返る。
◎彫物
表裏に棒樋を掻き流す。
◎茎
大磨上、先極く浅い栗尻、鑢目勝手下がり、目釘孔3。
◎説明
鎌倉時代後期から南北朝期にかけて、備前国宇甘庄に雲生・雲次・雲重らの刀工が在住しており、その居住地から宇甘派とも、また「雲」の字を冠するところから、雲類とも呼称されている。彼らの作風は備前物の中にあって異色であり、京の来物や隣国備中青江派の風情に通じるものや、大和気質を混在させたものなどがあって多彩である。
この刀は、鍛えは地沸が厚くつき、地景が細かに入り、淡く映り立って、刃文は小足・葉がよく入り、金筋・砂流しがかかるなどの出来口を示しており、本来の備前伝に青江気質や京気質が強調されて雲類の見どころが顕示されている。幅広大鋒の力強い姿態から南北朝期貞治頃の雲重と鑑せられるもので、重ねも厚く、堂々とした雲重極めの優品である。(重要図譜より抜粋、転載)